エイジング加工のおはなし。

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ど~も。つくる人の小室です。
継がれゆく箱プロジェクト第一弾”fukadaso”のファサードデザインに使用したトタンエイジングのお話をぽちぽちします。
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コレ、どっからどう見ても錆トタン!!だけども人の手で仕上げたモノ。
新品のトタンを~錆させて貰いました。
エイジング加工と言うのだけども、皆さんが「あぁなるほど!」と来るとしたら、ディズニーランドなどで見る あのステキな味のある外壁など、彼らが手掛けている仕事だったりします。
やりたい表現をどう伝えようかと~悶々しながらがスタート!
想い描く内容を、伝えるって 簡単な様で 難しい。
ましてや、色を伝えるって非常に難しい。。。
例えば「赤」と言っても、人それぞれ微妙に彩度の違いがあったり。。。
プリンターの種類でも色は変わるし、とにかく、難しいと思う点だなと日々思うのですが、でも、このエイジング屋さんとは~、馬が合うのか、拙い私のコトバでも、ピンポイントの色を出してくれるのです!!もう、私は大興奮!!
こんな感じの色が欲しい!というと、その場でサンプル色を作ってくれて、しかも思いも付かなかった色を足されたりして、「えっ!?その色を足すの!!?」と疑う色を組み合わせ~見せられた時には、もう師匠!と呼びたくなる。それくらい色の天才 と思う。
エイジング加工とは、一気に老いさせて味のあるモノに仕上げることです。そして、そこまで行く為の“過程”があり、“歴史”があり、、、まるでそこに積み重なった時間の経過があったかの様に~生み出し、表現していく。見えない努力が詰まっているんです。
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「こんな風合いの錆がいいんだ」と私が言う。
『じゃ、このトタンが生きた道はこういう感じだね』と答えるエイジング屋さん。
「こんな色味がここには欲しい」と私が言う。
『じゃぁ~このトタンはこんな環境に耐えた子だね』と答えてくる。
要望に1つ1つのストーリーを思い描いて作る姿にただただ感動で、そこまで考えて物事を見ていたことがあるだろうか?と疑問にも思うし、そういった「経過」を意識してモノを作ったことがあるのかな?と考えさせられた。
この人たちの素材に対する見方というか、データ量ってスゴイのだろうなと思うばかり。
エイジングトタンのベース作り。
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シルバーのトタンを材料にしています。
全体的カラーイメージは「白」
シルバーを「白」に塗れば簡単じゃん!と思ったりしたのだけども、そうではなく、「えぇ!?」と思うくらい濃い色を下地作りに乗せて行きます。その上から、写真でも見える~白い斑な表現を。ただ塗るだけではなくて、タッチを変えて~乗せ方を変えて~何層も色を重ねベースを作ります。これが後々、活かされるという地道な下地作り。
下地作りが肝心なんだと、エイジング屋さん。
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ローラーで優しくタッチを入れるシーン。
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トタンの溝に雨がスーッと垂れる。それが重なっていく様子の1シーン。
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1枚のトタンにそれぞれストーリーを描きながら手を加えていく。
ここにコレ必要でしょ。とか、そのタッチが来るなら~ここにはこの色を乗せないとリアルにならないよ。など、育った環境イメージを想像しながらの作業。
白~グレーに渉った数色と、濃い赤系とイエロー系と、シンプルな表現の中にも、表情は盛りだくさん。細かいタッチがリアルさを生み出し~下地の苦労もちゃんと生かされていくのが見て解る。目を凝らすと~色んな色が見えるので、是非見て欲しいなと思う部分。
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右側師匠。師匠のタッチを学ぶ様子。
この濃い錆色もまだベースだったりする。昔、デッサン中に先生に言われた言葉を思い出す。「見えないタッチが生きるんだよ」と。なるほどねと思い出した場面でした。
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完成に近づく段階に入ると、外に出して自然光で確認。
色を確認するには、自然光が一番いいんですよ。それも曇りの日が一番いい。まっすぐ色を見る事ができるんです。
自然光で全体のチェックをしながら、微調整を入れて行きます。この作業を何度も繰り返します。
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終盤の方は、”擦れ”だったり”凹み”だったりを表現する為にカラダを使ってリアリティーを出したり、叩いたり、本当に演出が細かい。
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最後の仕上げのタッチ。
1つ1つ、丁寧に見直し、必要なモノを入れ込む。
たくさんのタッチが入った1枚1枚が仕上がっていく。
そして完成へ。
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このトタンは箱プロで使うために制作してもらったのですが、きっと、驚かれる仕上げになっているのでは?と思います。(イヤ、思いたい!)
違和感を持たず「錆トタン!」と思っていただければ~、作った側の勝ち!なんて思っていたり。笑。
全行程5日間。
とてもわくわく刺激的な日々でした。
何かを生み出す人の手ってステキだなと思い、そういった仲間と考えながら、もがきながら~創るその場面は~1つ1つちゃんと自分の中に刻み込まれているんだろうなと思う。幸せな経験。
みなさん、本当にありがとうごいましたっ!!