「どうってことない、いい感じ」
ひきつつづき、売主さんのお部屋探訪ブログをお届けします。
前回のブログでいい感じなのは、お伝えできたかと思うのですが、今回はもう少し具体的に……
「 言ってしまえば「ロングライフデザイン」というのでしょうか。
新しいものがダメ、デザインされたものがダメというわけではなくて
どうってことない、普通の感じがなかったんです。
それだったら自分たちでやるしかない 」
そんなところから始まっている、お二人のお部屋作り。購入時に友人の建築家さんと一緒にされたリノベーションは、大胆なものではないけれど、それがまた、あちこちいい具合。昭和のカラーブックに載っているような、小住宅がイメージにあったそう。
唐突に洗面所の写真で、アレなんですが、「なんでもないけど、いい感じ」がここにあらわれている感じがして、私はすごく好き。
トイレも、計算されているような、されてないような。計算してもできないような。さっぱりしているけど、つめたくない感じっていうのかな。
そして、もともと和室だったところは、寝室に。天井や壁、襖も板を貼って白くしてあります。障子を直した部分がまたかわいい。鳥がいたり、花が咲いていたり。おうちを愛していらっしゃるのが伝わります。
リビングの壁紙をはがして白くぬった壁は、壁紙がうまくはがれなかった!と職人さんに謝られたらしいけれど、その均一じゃなくて、ザラザラなところがまたいい味に。そして、棚受けの金具は、ピカピカな感じが嫌で、ご主人自ら白く塗装。
そんなひと手間も、障子のお直しも、自分の手を動かして、自分たちの空間を作るって、やっぱりいい。DIYといったらそれまでというか、大袈裟だけど。ちょっと気になったら、思うようにやってみればいいよね、と妙に納得。DIYがうまくいっているのは、そもそも住む人の審美眼とセンスありきと重々承知ではありますが、正直、そこまでお金をかけなくても(とは、失礼かもですが)、十分素敵。いやむしろ、そっちの方が断然かっこいいな!としみじみ感じました。
作業部屋の床は張り直して、柿渋を塗られたそうです。ご主人の切り絵もお好きな民芸品も、作った人の手触りが残っているところが魅力的なんだけど、床もその延長? それっぽい感じじゃない、なんとも言えない風合いだったのですが、床の写真がない……スミマセン!!! 床板は、ゆくい堂の手を経てもなお、こちらのおうちのどこかに住み続けることになる確率高し!ですので、解体前の状態も後日かならず写真のせます! 柿渋は日に当たると色が変わっていくらしいのですが、時間がたっても古びた感じがしないのは、このおうちもだけど、ゆくい堂の物件も然り。
謎のオブジェや力士のおもちゃ、鳥のしめ縄……それぞれバラバラなようで、なぜか絵になる。おうち作りであっても、民芸品や古道具集めであっても、お二人が自分たちの価値観で居心地のよいものだけを丁寧に探してこられたという、共通点があるような気がしました。などなど、お話がとても興味深く、まだまだ書きたいことがたくさんあります。
このマンションの面白いところ、このお部屋のいいところ、周辺情報なども教えていただいたので、これからのブログで工事の進行状況とあわせて紹介していけたらと思っています。
そして、取材の最後には、お手製のマドレーヌまでいただいちゃいました!
実は奥様のスパロウ圭子さんは、パンやお菓子など食に関するお仕事をされていて、新しい食材のお話も興味深く聞きました。淡々としっとりお話されるご主人と、明るく愉快な奥様の絶妙なリズムもあいまって、本当に居心地がよくて、何かが生まれていく空間って、やっぱり違う、丁寧に作られている、っていうのかなぁ。
お二人のお引越先には、アトリエのような?ギャラリーのような?パブリックスペースも作られるそうなので、実はそちらもひそかに楽しみな4号なのであります。
ひとまず、スペシャル版はここまで!
このおうちが、つくる人の手でどんな風に変化していくのか、
今回はとくにとくに楽しみです。